大様館・ボージュ広場の入口
 

「ボージョレー・ヌーボー飲んじゃった」

 フランスではマスコミに、飲酒を勧めるような酒類の広告は、社会に害があるので認められておらず、広告業界は何とかこのおいしい分野の制限を開放しろと、盛んに働きかけているお国柄で、酒屋の広告が溢れる日本と事情が違うのですが、この解禁日パリ中の酒類販売許可のライセンスのある店先に、プリムールあり、ヌーボー到着のポスターがベタベタ貼られて、ああ今年採れたブドウも、ぼつぼつ醗酵しているんだなと、季節の風物を感じさせられます。
 しかし、ヌーボーの出来た頃、フランス人は一人頭、年間120本平均の消費だったのが、手を動かす筋肉労働の時代から、車に乗り、頭を使うITの時代で、現在は年間50本平均の消費、昔の半分しか量は飲まれなくなっているのです。一方世界の各地にワイン産業が現れて過当競争、生産過剰で溢れています。ですからフランスのマスコミ方面には、熱心に試飲提供されるのでしょう。酔っぱらわされて話題にしたがるのはジャーナリストなのかも知れません。斜陽の映画産業が、パーティ、フェスティバル、ご招待が多いのとよく似ています。
 本当はボージョレー地区には、4〜5年保存の出来るビラージュという本格ワインもあり、私たちには値段も手頃でそちらを愛用していますが、ヌーボーばかり有名になり、そんな程度のワインと低い印象が強く、残りの長い一年、本物が売れないので困ってもいるのです。だから割安なのかも知れませんね。一ヵ月しか寿命のないものに殺到して、ジェット機飛ばして天然化石燃料を使い、大気汚染して、京都条約を作る、日本人て何だろうとも思うのです。


2004年11月22日 赤木 曠児郎  
BACK  

page3/3