ムーラン・ルージュ
 

「パリの町はどこの石?」

 セーヌ河右岸は大丈夫かというと、これまたモンマルトルの丘から東の丘陵地帯もまた穴だらけなのである。石の種類が別だが、パリ産の石膏は質がよくて名物で、地下の石灰岩を掘り出して焼いて粉にして作ったのである。ムーラン・ルージュのある広場はこの石膏の運搬道で、粉がこぼれて道が真っ白だったから白の広場と名付けられているし、モンマルトルの丘の石切り場洞窟の中から出た化石を1798年キュビエが見つけて、古生物学や比較解剖学の学問講座をおこした。ビュット・ショーモン公園の一帯をアメリカ地区と呼ぶのは、ファッションのアメリカ村なんかではなくて、ここの石膏が盛んにアメリカに輸出されて、主要産業だったから現在もこの名前がついている。またこの一帯の地下も穴だらけなのである。

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