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「山をなめないで」山岳遭難が増加した一年 “命の問題”と警鐘 高野貴裕アナ【私の2021】

『ひるおび!』や『TBSNEWS』などで活躍する高野貴裕アナウンサー。プライベートでは登山愛好家として知られている。そんな高野アナが気になった今年のニュースは「山岳遭難の増加」だという。コロナ禍でアウトドア志向が高まった2021年。登山歴27年の高野アナがみた実態とは?(聞き手:TBS報道局 久保田智子)
■コロナも影響?軽装の登山者が急増 中学生のころから登山を続ける高野アナ。2021年も北アルプス前穂高岳など4座を登頂をしたが、今年は周りの登山者たちに変化が見られたという。 高野貴裕アナウンサー「装備が不十分な人が増えました。ストックがなかったり、登山ブーツでなく普通のスニーカーで登っている人をよくみました。多くが山登りについてよく知らないまま始めてしまったビギナーだったのだと思います。実際、初心者の知り合いに頼まれて登山のアテンドをしたのですが、彼の装備は『山歩き』より『街歩き』向きで、登山に欠かせないライトも持っていなくて、なぜか聞いたら『重いから置いてきた』との答えでした。装備は結果いらないことも多いですが、必要になったときにないと命の問題になります。そのあたりの危機感が共有できていないことをとても不安に思いました」 ■「山をなめてました」友人の散々な山登り 警察庁のまとめによると、2021年夏期の全国の山岳遭難の発生状況は533件で、前年と比べて63件増えた。過去5年間は減少傾向であったが、今年になって増加に転じている。多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備、さらには、体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力等の準備不足が原因で発生しているとして、警察庁は注意を呼びかけている。 背景には何があるのだろうか? 高野アナウンサー「去年はコロナ禍の巣ごもり需要の高まりで、登山者も減少したとの統計が出ています。しかし、体感として今年は登山者が戻ってきています。問題なのは、運動不足による『体力の低下』、そして、密を防げるというアウトドア志向の高まりで『初心者が山の厳しさを知らないまま登っている』点じゃないかと感じます。私の知り合いも、普段はゴルフで歩いているから体力には自信があると登山に挑戦しましたが、平坦な道と山道はかなり違います。結果、地図にある平均時間よりも3時間遅いペースの山行となりました。山の日は短いです。16時にはもう薄暗くなってきます。下山時には、筋肉痛と腰痛で牛歩のように動く彼のペースに合わせ、なんとか日没ギリギリに下山。知り合いが『山をなめてました』と呟いていたのが印象に残っています」 ■「ちゃんと生きて帰る」山との向き合い方 子どものころから冒険心が強かったという高野アナ。初めて挑戦したのは富士山。中学生の時、一人で、徹夜で、登頂した。ご来光をみたときの興奮は今でも忘れられないという。そしてその時から、大自然への畏怖の念を抱いている。 高野アナウンサー「山登りの魅力は、むき出しの大自然と向き合えること。普段の生活ではみられない深遠な美しさがそこにあります。しかしそのことは同時に、自分を守るものは、自分自身しかいない自然との緊張関係を意味し、自分の命と向き合う行為でもあります。つまり、山で事故に遭うことは、死に直結します。だからこそ、準備して、事故に遭わないできる限りの準備が必要なんです。また自分の体力を冷静に判断し、レベルにあった山の選択も必須です。山を多くの人に好きになってもらいたい。だからこそ、山をなめないで、命の問題なんだ、と伝えたいです」 高野アナは今でも登山をする際には「ちゃんと生きて帰る」ことを一番の目標にしているという。そのための準備は欠かさない。今も次の登頂に備え、2リットルペットボトル6本、リュックに入れて、10キロ歩くトレーニングを続けている。 高野貴裕アナウンサー2003年、TBSにアナウンサーとして入社。プライベートでは週3のワークアウトは欠かさず、登山、クライミング、サーフィン、キャンプなどアウトドアに造詣が深い。第一種狩猟免許取得、キャンプインストラクター、コーヒーインストラクター保持。福島県いわき市出身。(24日07:00)

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