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「大使館はタリバン政権の出先機関ではない」本国から送金なし…スタッフ7割削減…それでも無給で働くアフガン駐日大使の思い【報道特集】

イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの実権を掌握して3か月、前の政権に任命された駐日大使が初めてインタビューに応じました。タリバンとの連絡はあるのか、大使館の状況はどうなっているのか、「報道特集」金平キャスターが聞きました。
■資金難で大使は無給、大使館スタッフ7割削減 金平茂紀キャスター:現在の大使館の状況はどうなっていますか? シャイダ・モハマド・アブダリ 駐日アフガニスタン大使:8月にタリバンが政権を樹立してから、送金が途絶えました。アフガニスタン同様、資金難に直面しています。スタッフを維持することができず、残念ながら7割ほどの人員を削減して、領事業務を中心に業務を続けています。残した人員にも給料を支払えないので、そのかわり大使館に住んでもらうなどして工夫しています。 金平キャスター:大使自身の給料はどうなっているのですか? アブダリ大使:私は現在無給の状態です。しかし、それは大したことではありません。日本にいるアフガニスタン人に奉仕するのが使命ですから。 金平キャスター:他の在外公館も同じような状況ですか?連絡をとりあったりしますか? アブダリ大使:基本的に多くの在外公館は同じような状況に置かれています。領事業務もありますから、他の在外公館とやりとりをする機会はありますが、この状況が喜ばしいと思っている人は誰もいません。しかし、我々(外交官)にとって最も重要なのは在留しているアフガニスタン人への奉仕です。本国での成り行きがどうなるか見守っているところですが、その間、大使館を閉鎖することはできませんし、在留アフガニスタン人の声を一つにして届けるのも重要な役目だと考えています。 金平キャスター:あとのどのくらい、大使館の運営を続けることができますか? アブダリ大使:なるべく長く、と思っています。アフガニスタン人を助けることが使命だ、という思いで同僚も無給で頑張ってくれています。状況が改善するまで、長引かないことを祈っています。 ■代表すべき「政府」がないことへのフラストレーション 金平キャスター:こうしたなかでタリバン側との連絡は? アブダリ大使:一切ありません。こちらからも連絡していません。 金平キャスター:タリバン政権との連絡が途絶していて、政府をどう代表すべきか分からない点についてフラストレーションはありますか? アブダリ大使:もちろん、政府が正常に機能していないのは非常に困難な状況です。どう代表したら良いかというのが判然としないのにはフラストレーションも感じます。ですから、一刻でも早くタリバンがすべてのアフガン人にとって受け入れられる政府を作るべきだと思います。 ■ガニ前大統領の国外脱出「正当化できることではない」 金平キャスター:あなたを大使に任命したのは、前のガニ大統領です。タリバンが首都カブールを制圧した際、ガニ氏は逃走しましたが、それは正しい判断だったと思いますか? アブダリ大使:ガニ氏にはアフガニスタンに残っていてほしかったと思います。国外に脱出せずに、人民を団結させるという役割を果たすべきでした。一方でなぜそういう判断をしたのか、背景状況をすべて知っているわけではありません。ですから、いずれ自分自身で説明してくれることを願っています。 金平キャスター:脱出は正当だと考えますか? アブダリ大使:いえ、正当化できることではないと思います。どの国であれ大統領の立場にある人物が、市民を残して去ったわけですから。 金平キャスター:カルザイ元大統領の側近である大使からみて、タリバン政権に正統性はありますか? アブダリ大使:タリバンが樹立したのは『暫定』政権です。タリバンも、今は暫定的な統治で、将来あらゆるアフガン人を包摂する政府を作ると約束しています。それが実現するまで、その正統性は当然、疑問視されるでしょう。 金平キャスター:では、この大使館はタリバン政権の出先機関ではない? アブダリ大使:まったく違います。大使館はアフガニスタンの人々、そして国を代表しています。 金平キャスター:ですから国旗はそのまま飾っているのですね? アブダリ大使:もちろんです。変わらず、アフガニスタンの国旗です。引き続き国際的に認められているものです。 ■「中村さんはアフガニスタン人よりも、アフタガニスタンに貢献した方」 金平キャスター:大使館に、アフガニスタンで人道支援に尽力した中村哲さんの写真が飾られていますね。 アブダリ大使:私が来て最初にしたことの一つが、中村さんの活動を支援していた福岡のペシャワール会を訪れることでした。ご家族にもお目にかかりました。中村さんはアフガニスタン人よりも、アフタガニスタンに貢献した方です。アフガニスタン人のより良い生活のために、命を賭して活動して下さった。中村さんはアフガニスタンと日本の友好の象徴であり、我々は尊敬の念を込めて、写真を飾っています。 金平キャスター:いま、アフガニスタンはどのような状況ですか?飢饉を危惧する声が広がっています。 アブダリ大使:経済危機に直面しているなか、まもなく冬がきます。この状況が続けば食料難で大惨事が起きます。政治混乱のツケは何の責任もない普通の市民にまわっています。 金平キャスター:状況打開にむけてタリバンはどの程度の責任がありますか? アブダリ大使:非常に大きな責任を負っていると思います。タリバンが約束したように、すべてのアフガニスタン人を包摂し、納得を得られる政府を構築すべきです。もちろん、世界がそれを認めることも重要です。 金平キャスター:日本は先月およそ71億円を、国連機関を通じて無償協力しました。 アブダリ大使:それは非常に感謝しています。また、駐カブール日本大使館やJICAで働いていたアフガニスタン人の退避と日本への受け入れにも感謝しています。私も何人かに会いましたが、お陰様で元気そうでした。しかし、アフガニスタンはいま非常に厳しい状況で、いますぐ人道支援が必要です。タリバンが権力を掌握しているわけですが、一般の市民は政治的な混乱には関係がありません。政治と人道支援は切り離して考えてほしいです。これまでも政治的な意図ぬきで支援してくれた日本にはさらなる支援をお願いしたいですし、世界の他の国の支援を促してくれることも期待しています。(21日9:00)

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