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中国で続々出現 EVの墓場【CATCH THE WORLD】

世界各地の街角の話題や最新ニュースをお伝えするキャッチ・ザ・ワールドです。今回は上海支局・森岡紀人記者の報告です。世界一のEV=電気自動車大国の中国で、EVが放置される、いわゆる「EVの墓場」が社会問題になっています。なぜEVが捨てられるのか。中国ならではの事情がありました。
森岡紀人 記者「すごいですね。見てください。自動車が敷地を埋め尽くすように停められています。数百台以上あるでしょうか」 上海から車で2時間ほどの浙江省嘉興市。ここはEV=電気自動車が、大量に放置されている「EVの墓場」です。一部の車はバンパーやボンネットが外れていて、ボロボロ。敷地内では部品をとるのでしょうか、解体作業が行われています。 作業員「数か月前にここに運ばれてきました。全部で1000台くらいあるよ」 実はこのEV、かつて上海などでカーシェア用に使われていた車です。中国で続々と出現している「EVの墓場」には、このカーシェア事業が深く関係しています。 白い車体に緑のロゴが特徴のシェア自動車「EVCARD」。SUVやセダンタイプなどがあり、最も小さい車の場合、1分およそ10円で利用することができました。かつては上海市内の駅など市内4000か所の駐車場に8000台が配置されていましたが・・・。 記者「上海の高速鉄道の駅前にEVCARDのシェアカーが停められていたのですが、現在は充電スタンドは残されていますが、車は一台も停まっていません」 EVCARDは事業の不振により2019年にカーシェア事業から撤退。日本でも広まりつつあるカーシェアですが、中国では下火なのです。 中国では2016年頃からスマートフォンで簡単に利用できるシェア自転車が爆発的に広まりました。シェアビジネスへの期待が高まり、次は自動車が普及するとにらんで各地でカーシェア会社が乱立。しかし、中国ならではの事情でその思惑は外れてしまいます。 記者「スマートフォンのアプリを立ち上げて目的地を設定します。そして呼び出しボタンを押すと、あっという間につかまりました」 タクシーをスマートフォンで手軽に呼ぶことができるうえ、料金がそもそも安いこともあり、自ら運転しなければならないカーシェアは利用者をひきつけられませんでした。 市民「タクシーの方が便利です。カーシェアは使った後指定の駐車場に返さないといけないので時間が無駄になる」「1、2回シェアカーを使いましたが、駐車場が少なかった」 中国政府はEV普及のためメーカーや購入者、そしてカーシェア会社に補助金を出し、利用を促してきました。その結果、大量のEVが行き場を失うことになったのです。 世界のEV市場で主導権を握る、という政府の方針は当分変わらないとみられ、今後も各地で「EVの墓場」が出現するかもしれません。(26日04:39)

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