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新たな変異ウイルス「ミュー株」国内で2例初確認でどうなる?

 WHOが「注目すべき変異ウイルス」に分類した新たな変異ウイルス「ミュー株」。すでに約40か国で確認され、南米コロンビアでは割合が一時80%を超えるなど急速な拡大を見せました。その「注目すべき変異ウイルス」が国内で初めて2例確認されたことが発表されました。
井上貴博キャスター:変異株の名前で使われているギリシャ文字、全部で24個ある内、「ミュー(μ)株」で12番目になります。それらの変異株がどこまで危険性が高いのかということが、WHOにより分類分けされています。WHOは「懸念がある変異ウイルス」と「注目すべき変異ウイルス」の2つのカテゴリーを指定しています。連日ニュースで出てくる、国内の感染がほぼこれに置き換わったと言われているデルタ株は「懸念がある変異ウイルス」に属しています。一方で、12番目の変異株であるミュー株は「注目すべき変異ウイルス」に属しています。イメージとしては前者が赤信号、後者が黄色信号、そういった部類の分け方と考えてもいいかもしれません。このミュー株は、8月31日のWHOの発表によると、まだ可能性の段階ですが、ワクチンの効果を弱める可能性がある、ということなんです。ベータ株(南アフリカで最初に発見された変異株)に似た傾向があるのではないかとされています。感染力や重症化リスクについてはさらなる調査が必要だということです。変異ウイルスを調べていく中で「攻撃力」が強まっているタイプと「ワクチンからすり抜ける力」が強まっているタイプがあると分かってきていますが、ミュー株は「ワクチンからすり抜ける力」がある程度強まっているのではないかということです。 ミュー株は、WHOによると2021年1月にコロンビアで最初に発見されました。他の変異株を駆逐していき、コロンビア国内でのミュー株の割合は一時的に8割を超えました(outbreak.info 2日時点)。その後他国にも広まり、8月29日時点で39か国でミュー株の感染が報告されています。これを受けてミュー株が「注目すべき変異ウイルス」のカテゴリーに指定されたので、日本でも今まで空港検疫で行っていた検査を少し遡って、ミュー株がいつ日本で確認されていたのかが調査されました。そこで発表されたのが6月と7月の1例ずつ。国籍は共に不明です。アラブ首長国連邦から成田空港に来た40代の女性、イギリスから羽田空港に来た50代の女性の2例について、ミュー株の感染が確認されていたと発表されました。現在、国内の感染がデルタ株にほぼ全て置き換わっていると言われています。では、赤信号のカテゴリーにあるデルタ株と黄色信号のミュー株。両者の関係をどのように見ていけばいいのでしょうか。コロンビア国内では、ミュー株は2021年1月に発見された後増え続け、一時8割を超えていました。ところが、7月の頭に初めてデルタ株が確認されると急激にその割合が大きくなり、8月にはミュー株とデルタ株が半々、といった割合になっています。 ホラン千秋キャスター:デルタ株とミュー株が置き換わっているというふうに解釈していいんでしょうか。 防衛医科大学校病院 感染対策室長 藤倉雄二准教授:まだまだデータが少ないので難しいところだと思いますが、一見すると、やはり置き換わりのようにも見えます。例えば、イギリスやアメリカなど様々な国でミュー株は確認されているんですが、既存のデルタ株を押しのけて増えていくほどの力はないのではないかと思います。そうなると、もしかしたらこれからコロンビアではデルタ株が主流になっていくのではないかなというふうに個人的には考えています。 ホランキャスター:そうなると、日本ではもう既にデルタ株が主流になっていますので、その中でミュー株がまた力をつけて増えていくということはないと考えるべきなんでしょうか。 藤倉雄二准教授:これも非常に難しい問題だと思うんですが、今国内で主流となっているデルタ株。これが例えば、今後秋ぐらいに少し流行が落ち着いてくるようなことになれば、もしかしたらその隙を突いてミュー株が増えてくるということは、シナリオとしてはあると思います。というのも、ミュー株というのは、先ほど話があったベータ株(南アフリカ型変異株)の「ワクチンの効果を下げる」とされている変異の他に、イギリス型変異株に見られたような「より効率的に感染をしていく」というN501Yという変異も含んでいるため「攻撃力」と「ワクチンからすり抜ける力」の両方の側面を持っています。なのでそういったことから考えると、ミュー株が増えてくるという可能性は十分にあるのではないかと思います。 ホランキャスター:まだ油断はできないわけですね。 藤倉雄二准教授:そう思います。 井上キャスター:今はデルタ株が猛威を振るっていますが、既に水面下で変異しているかもしれないということを前提に我々はこのウイルスと向き合わなければならない。その中で医療体制をどうするのかについて動きがありました。8月23日に東京都で、改正感染症法に基づいて、都内の全ての医療機関にコロナ患者の受け入れなどの要請がなされました。目標値は7000床でした。それがどのくらい増えたのでしょうか。9月2日に発表されたデータによると、確保できている病床は6117床ですので、150床は上乗せできました。また、重症病床も73床上乗せできたということでした。しかし、この法律に基づく要請というのはあくまでも「お願いベース」で強制力がそこまでないと言われていますので、こういったところの限界もあるのかもしれません。 ホランキャスター:もちろん医療機関は協力してくださったんだと思うんですけれども、やはり病床を増やしていくというのはいかに難しいことなのかということを感じますね。 萩谷麻衣子弁護士:そうですね。それから、今入院できずに自宅で亡くなる方が相次いでいるという緊急事態の状況で、今のままではこのまま感染が収まる傾向が見られないのではないかと心配になりますので、医療体制の法整備はやはり議論していかなければならないと思います。今の法律の立て付けだと、入院調整や人員確保、病床確保などは都道府県の役割となっていますが、結局都道府県が勧告しても従わない、しかし氏名公表までしかできないという仕組みになっています。果たしてそれだけでいいのか、もっと強い権限が必要ではないか、また国がもっと強い権限を持って乗り出さなければいけないのではないかということを、やはり法整備として検討しなければいけない時期です。もう遅いぐらいだと思います。 井上キャスター:医療機関としても、本当は協力したいけれどできない状況もある。「野戦病院」という手段も提唱されている。これについて、何かアイデアというのはありますか。 藤倉雄二准教授:病床は増えていますが、もう今1日何千人も感染者が出ているようなペースだと、恐らく中等症以上の方であっという間に埋まってしまうと思います。すべきことは、自宅に今いる方々をいかにきちっとケアをしてあげて、早い段階で重症化させないということだと思います。したがって、今足りていないのは自宅にいる人たちをケアするシステムだと思いますので、入院するというよりはその前の段階でしっかり止めてあげないといけないということを非常に強く思っています。 井上キャスター:宿泊療養施設も含めたシステムが必要、ということなのかもしれません。(02日16:55)

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