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宇野自動車

宇野泰正 社長

2019年9月16日(月)

 ——夢を一言でお聞かせください。

宇野:「宇野バスがあってよかったね」を目指しています。

——大正7年の創業以来、岡山県内でバス事業を展開されています。利用する方が快適であるためにどのような取り組みをなさっておられますか。

宇野:バスそのものにお金をかけること、それからバス停にお金をかけること。この二つが、我々にとっては一番大事な投資だと考えています。実際に、この数年ですべての車両を新車に入れ替えました。低床タイプのワンステップバスに統一したことで、障害者の方やご高齢の方から、乗りやすくなったとたいへん好評です。

——新しい車両にはどういった工夫があるのでしょうか。

宇野:わが社で一番自慢なのはシートです。手触りのよい分厚いシートで、1時間お座りいただいても快適にお過しいただけます。また、通勤時間をより価値あるものにしていただくために、無料Wi-Fiを完備しまして、座席横にはコンセントを設置し、パソコンで仕事をすることも可能になっています。ほかにも、小さなお子さまでも押しやすいように降車ボタンを座席の裏に付けたほか、安全のために設置する握り棒の数を増やして、何かあったときにはすぐにつかまれるようにしています。

——バス停の工夫についてはいかがでしょうか。

宇野:バスロケ(バスロケーションシステム)を導入したことで、いまバスがどこにいるのかが利用者にもわかりやすくなっています。現在ではバス停以外でも、パソコンやスマホのアプリで気軽に確認いただけます。また、本社前のバスセンターに導入したカッセルカーブ(縁石)により、バス停にぴったりとバスを寄せることができるようになりました。縁石から10センチくらいまで寄せられますから、お客様の第一歩がバスのステップに掛かることになり、本当に乗り降りしやすいんです。特にお年寄りの方には好評ですね。こういうことを一つひとつ実現していけば、高齢者の利用がもっと増えていくのではないかと期待しています。

——後楽園への直通バスについてはいかがでしょう。

宇野:「岡山後楽園バス」は、岡山駅から後楽園に直通するバスです。後楽園への観光客が増えているにもかかわらず、それまで直通バスはありませんでした。岡山大学が主宰している「岡山まちとモビリティ研究会」の会議の中で提案があり、私どもが手を挙げたわけです。車体の緑色にもこだわって、後楽園行きというのがひと目で分かるようなデザインに仕上がりました。車内では後楽園の紹介ビデオを流したり、パンフレットをお渡ししたりしています。また、料金はワンコインの100円ですから、外国人の方にも好評です。

——運賃についての取り組みはいかがでしょう。

宇野:バスの基本は、安全であることはもちろんですが、使いやすさという面では運賃がかなり大切な要素になると考えています。わが社は、全国の民間路線バス事業者(対キロ区間制運賃制度を採用する、保有車両30台以上、路線の長さ200キロ以上または路線にかかる車両数が100両以上)では一番安い運賃(平成30年3月末現在、国土交通省調べ)ですけれども、気軽に利用いただける運賃設定を目指した結果です。います。そのうえで、利益が出る体制をどのように整えるかがこれから大事になってくると思います。

——その運賃を実現するためにどういった工夫をされているのでしょうか。

宇野:事務所の社員はほとんど全員が多能工で、例えば経理担当者も運行管理者の資格を持っています。ひとりの社員がいろんな仕事をこなすことで生産性を上げています。また、テレビ電話を使って点呼をしたり、回送を減らしたりするなど、小さなことを積み重ねています。機械化できるところは機械化していき、人手を省くことができれば、働いている者にとっても仕事が楽になることになります。

——高齢化が進む今の時代をどのようにとらえておられるのでしょうか。

宇野:バスの利用者数は下がり続けているのが現状です。他社との競争もあり、さらなる工夫が必要だと考えています。以前、バスの自動運転の実験にも取り組みました。しかし、まだお客様にお乗りいただけるのは当分先の話で、無人化は難しいと思っています。やはり、新しくて乗りやすい車で、いいサービスを提供して、お客様に選んでいただくことが重要でしょう。今は乗務員が不足していますから、運転しやすく疲れないバスで、働きやすい環境を整えていくことが一番の課題だと思って取り組んでいます。

——これからの展望は。

宇野:自動運転が登場したり、ライドシェアが始まったりと、バスもタクシーも「100年に一度の大変革期」と言われています。その中で、我々がどういう移動手段を運営する会社であれば生き残ることができるか、しっかり勉強して、10年後にわくわくどきどきして生き残っている会社を目指します。

宇野 泰正(うの やすまさ)

宇野自動車株式会社 代表取締役社長

昭和28(1953)年4月14日備前市生まれ。昭和51(1976)年3月慶應義塾大学法学部法律学科卒。昭和51(1976)年4月森ビル株式会社入社を経て、昭和54(1979)年2月宇野自動車株式会社入社、現在に至る。趣味は仕事。好きな言葉は独立自尊。