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岡山商科大学

井尻昭夫 学長

2017年11月6日(月)

——夢をお教えください。

井尻:社会のニーズに応え、地域に貢献できる人材づくりを進めたいです。

——約1500人の学生が学ぶ岡山市北区の岡山商科大学。社会科学に特化したカリキュラムで、経済学分野での大学院進学率は全国1位(朝日新聞出版『大学ランキング2018』経済、経営、商学部分野)を誇ります。

井尻:今年、東大大学院に3人合格しており、ここ3年間、毎年東大の大学院に進学する者の数が増えてきております。また、社会科学のトップである一橋大学の大学院に今年も3人合格しております。最初は私自身も「まさか」という驚きを持って受け止めましたが、毎年それが出て来ました。大学院に行こうと思ったら岡山商科大学へと、自然にそういう状態が生まれてきたわけです。絶対数も毎年延べ75名、そんな大学はまずありません。そういう意味では、私たちは非常に学生諸君の活躍を喜んでいるところです。

——どこにその秘密があるのでしょうか?

私たちは大学院進学に向けての教学(教育学習)体制を固めております。特別な進学コースを設けて、深夜まで勉強できるという素晴らしい環境が整っています。若手の先生方が中心となって、学生の私生活にまで指導して面倒を見ているというのが、一番の特色ではないかと思います。

——授業内容ではどんな工夫をされていますか。

井尻:教学施設については、最先端のものを取り入れています。チョークと黒板というものだけではなく、コンピューターを使った授業を、また素晴らしい先生には遠隔から教壇に立ってもらうということもしております。東京でテレビカメラに向かって講義していただき、こちらで大きなスクリーンに映し出して質疑応答するという、そういう授業体制を取っております。

——ということは、トップレベルの授業をこちらでは受けることができると。

井尻:地方でありながら「東京在住」、つまり東京で勉強できるのと同じような条件を私たちは設けているということです。
大学は、昔は「象牙の塔」ということで、社会から遮断されたような存在だったのですが、私たちは、「社会と呼吸する大学」ということをスローガンにしております。そのために、財界の第一線の人たちに教壇に立っていただいて、理論と実践とを個々人が融合するようなシステムを取っているわけです。これもほぼ20年来の歴史を持っておりますし、東京・丸の内の慶応大学から放映される「夕学(せきがく)」を授業に取り入れていて、日本有数の論者による講義が岡山で受けられます。
学生は当然受けるのですが、地域の人の受講も可能にしています。地域の大学、地方の大学でありながら、(学生と地域の人々が)一緒に知識を高めていくということであり、そこに本学の存在意義があると。「社会と呼吸する大学」ということには、そうした深い意味を込めさせていただいております。

——来年度、新たに「金融コース」を設けられると伺いましたが、どのようなコースなのでしょうか。

井尻:従来は、経済学部、法学部、経営学部、商学部というものがあるのですが、これは勉強の体系でそれに沿った学部なのですが、実社会を見るとそうではなく、全部がからまっていて、からまった毛糸の玉のようです。それらを一つだけで説明するという時代ではもうなくなってきています。そこで社会事象を包括的に説明できるような、また包括的な理論を武装して世の中に送り出したいということで、私たちは新しい金融論というものを打ち立てたいと考えています。

——その新しいコースで学んだ学生たちに、どんな人材に育って欲しいと思われますか。

井尻:私たちの日本経済は金融政策というものが打ち立てられていますが、今のところまだ不十分です。何が不十分かというと、分かってきたことは、いわゆる「タンス預金」が眠っており、これらが市場に流通しないと経済が活性化しない。金融(知識)に長けた人材が必要とされているのだけど、いままでそういう人材は一握りしかいない。そこで私たちは、社会事象を包括的に説明できるようなアナリスト(分析家)を世の中に送り出したい。

——今後、どんな人材を育成しようとお考えですか。

井尻:グローバリゼーションという大きな流れがありますので、留学生をたくさん受け入れ、学生もたくさん外に出す。国際感覚も磨かれるし、本人自身の成長につながってくるのではないかと思います。
そのためにいろんな仕掛けをやっています。地方の自治体との交流もあるし、インターンシップやフィールドスタディなど、多種多様な教育の場を設けております。アジアの知のセンターとして、大きな役割を地方の小さな大学でもできるのだということを明らかにしていきたいと思っております。

井尻昭夫(いじりあきお)

岡山商科大学学長

昭和19(1944)年生まれ。香川大学経済学部卒業後、昭和49(1974)年神戸大学大学院経営学研究科博士課程単位取得。昭和61(1986)年神戸学院大学経済学部教授、昭和63(1988)年岡山商科大学副学長を経て、平成7(1995)年4月から岡山商科大学学長。平成12(2000)年学校法人吉備学園理事長。
現在、日本私立大学協会常務理事、公益財団法人私立大学退職金財団評議員なども務める。