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地域の未来が見えてくるインタビュー番組。
会社づくり、人づくり、そして街づくり…岡山・香川のトップの夢、経営ビジョンに迫ります。

前回の放送

井上誠耕園

井上 智博 園主

2018年12月10日(月)

——夢をお聞かせ下さい。

井上:大自然に誠実に向き合い、立派な園地を広げていくことです。

——オリーブの魅力を教えていただけますか。

井上:オリーブは愛と平和のシンボルです。オリーブは「食べて良し、塗って良し」と用途が広く、たくさんの人を幸せにできる産物だと思っています。

——約4500本のオリーブを育て、食用のオイルや化粧品などさまざまな商品をつくっておられますね。オリーブの魅力はどこにありますか。

井上:世界の大産地と比較すると、小豆島は山が多く斜面の段々畑で作るオリーブです。量はたくさんは採れないので、高品質なオリーブを作ろうと努力しています。そのためにすべて手摘みし、手選別をしています。オリーブの果実というのはいろいろな熟し方があり、熟度に合わせた果実を選んで搾っていきます。このような細かい作業を行い、丁寧にオリーブオイルを作るというのがうちの最大の魅力だと思います。

——手摘み・手選別で作るオリーブオイルは、どんな違いがありますか。

井上:世界の大生産地のオリーブは、大量に機械で収穫するため、どうしても果実に傷が付かざるをえません。傷があると酸化値が上がり、雑味も少し交じり合うことになります。オリーブオイルは、同じ品種のオリーブでも作る風土が変わり、作り手のフィロソフィー(哲学)が変われば、いろんな味に変化するものです。

——オリーブオイルの香りや味わいは、どんなふうに表現できますか。

井上:オリーブオイルの味の表現には、いろいろな例え方があります。「若草のようなさわやかな香り」がオリーブの鮮度を表す言葉になっており、私はこの若草の香りを重要視しています。熟度を早めすぎると、えぐみが強くなり、えぐみが弱くなるように収穫の時期を遅らせると、風味が弱くなってしまいます。緑の果実だけを使った「緑果オリーブオイル」は、まさに若草のような香りを感じることができます。今年は量が少ないながらもよいオリーブが採れ、良質なオリーブオイルができました。

——「Bakery & Cafe 菊太郎」がオープンしました。どういう思いで作られましたか。

井上:海外ではその年のオリーブオイルの出来を、パンに付けて味わいます。そこで、オリーブオイルを味わうパンを作ろうと、このパン工場を作りました。

——オリーブオイルとパンの相性はいかがですか。

井上:海外では、オリーブオイルとフランスパンのような硬いパンを合わせますが、私はオリーブオイルをたっぷり、じゅわっと十分に吸ってくれるような、モチモチ感のあるソフトなパンを作りたかったのです。パンの小麦のほのかな甘みとオリーブ独特の苦味と辛味がうまく調和して、おいしくなりました。評判がよくて、遠方からも買いに来ていただいています。

——小豆島でオリーブを栽培されることへの思いをお聞かせください。

井上:小豆島は、「観光立島」であるべきだと私は考えています。きれいに植えて育てるオリーブ園地が景観となり、そこで採れたオリーブを食べてもらい、オリーブを通じて小豆島を元気にしていきたいと思います。オリーブの木はこれまで110年間、いろんな人たちがつないできてくれました。次の100年も「オリーブというのはいい木だね」と思ってもらえるように、オリーブをたくさん栽培して次の世代に渡していきたいですね。

井上 智博(いのうえ ともひろ)

井上誠耕園園主

昭和39(1964)年香川県小豆島町生まれ。昭和59(1984)年大阪のビジネス専門学校を卒業、神戸中央卸売市場内の仲卸に就職。昭和64(1989)年小豆島に帰郷して就農。平成9(1997)年に農業生産法人(当時)として有限会社化。平成11(1999)年からオリーブ化粧品の販売、シリーズ化を開始。平成17(2005)年に実が熟す前の若いオリーブだけを使った「緑果オリーブオイル」を販売。日本の農業の衰退を憂い、広く農業の素晴らしさを伝え、地方創生と小豆島の再活性化を目指している。