3月11日(水) 午後8:56~9:54

世界最大の窯で備前焼は… ~森陶岳 古備前に挑む~

大地に喰らいつく龍のごとく…それはまさに「モンスター」だ。
幅6メートル、長さ85メートル。前代未聞の巨大登り窯が悠然と火入れの時を待つ。
「人智ではどうしようもない作品が生まれる。それは神の領域でもある」
備前焼作家・森陶岳(77)にとって、これは集大成だ。
「数百年にわたり古備前は名品とされる。現代の備前はまだそれを超えていない。」
50メートルという窯を運用していた室町・桃山期にならい、1970年代から大窯での
備前焼焼成に取り組んできた。
火の走りが複雑な大窯は、想像を超えた作品を生む。「神の領域」と表現する森。
2008年、10年の工期を経て85メートルの巨大登り窯は完成した。
それは世界の陶芸史上最大級の登り窯だ。以来、作品、そして燃料の準備に
7年の歳月を費やした。燃料となる松が不足しているため、巨大窯での焼成はたった一度きり、空前絶後のプロジェクトとなる。
2015年1月、いよいよ火が入った。窯出しは7月を予定している。
巨大窯に挑み続けた森陶岳、その40年の軌跡を追う。