岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2019年7月14日

「ビーチ姿のパリ」

天候異変で振り回されている。50年以上も暮すパリ、軽井沢のような気候で夏でも快適、冷房も必要を感じないし、車にさえも、不必要な冷房はつけないのが常識だったのに、40℃近い気温の日が続き、みんな狂ってダウンである。家具だって粘着テープを使って壁に留めてあるものなどは、沸きあがってポトポト落ちるほどなのである。絵皿やガラス類は割れるから、大損害である。その一方で中部フランスでは積乱雲(入道雲)が湧き、突然雹が降ってくるのである。卵の大きさは当たり前で、直径9cmの物がボコボコ落ちて来るのだから、屋根瓦は割れるし、車の天井に穴が開きウインドウの壊れるニュースが流れる。しかしとにかく暑い。居られないのでバカンスにみんな逃げ出し、パリに来る旅行者は、短パンにバスケットシューズ、肌も露わなTシャツ姿で溢れている。

パリ市内はインフラ整備で工事中だらけである。道路を掘り返してケーブルや水道管の工事がされている。夏休みの現在4614カ所の工事がパリ市内でされているという。道路を囲って穴を掘って地下工事をするのだから、市内の交通は渋滞で車地獄のようなものである。その上にまた地下鉄高架線工事で、我が家の近くの線路は7月1日から9月1日まで2カ月ストップして、駅も閉鎖されたままである。それでも不思議なもので7月でバカンスに入ったなと実感したのは、タクシーに乗って市内が走れたことである。急用で乗ったら10分で着いた。運転手が驚いて40分はかかっていたのだがという。夏休みに出払って市内の車が少なくなっているからである。通常冬場は、市内のタクシーは避ける。確実に時間に着くためには地下鉄の方が、まだ安全である。この2カ月はタクシーも便利な季節なのである。

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