岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2019年1月10日

「まだ続く黄色いベストのパリで」

12月31日深夜、パリの凱旋門から、今年は年越しの花火が上がった。半世紀近く見ているが、始めてのことであった。テレビのニュースで世界各地の派手な新年を迎える花火の光景が報道されても、パリは7月14日のエッフェル塔の周りからの花火だけで、新年の花火を上げたことはない。唯一の例外は2000年に入る時、見事な花火をエッフェル塔から打ち上げた記憶があるだけである。よく「パリの新年の花火、素敵でしょうね?」と聞かれるが、「何も無いんですよ」と答えて、キョトンとされるのが常だった。「黄色いベスト」の動きが凱旋門の広場を巡り、警官隊と攻防戦を演じる現在、花火とは立ち入れないで防御の名案だったかも知れない、年越しの日は比較的静かにおわった。来年もこの新年花火の新習慣は、続いて定着するのだろうか?

新年の年越し、テラスに出てパリの夜景を見まわす。市内の中心部は建てものの高さ規制で、真っ黒に闇に沈んでいるが、ぐるりとパリを取り巻く市外の側は、赤やブルーのライトで猛烈賑やか、夜景が一変している。昔は郊外側、街灯のナトリウムランプの静かなオレンジだけだったが、高層ビルには上空の飛行の為、建物の屋上を示す赤や青のランプを付ける義務がある。それだけドンドン事務所ビル、住宅ビルが郊外にビルラッシュで、高い建物がパリを取り囲んで出来ているわけで、この半世紀、随分変わったなと新年に思うのであった。

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