「黄色いベスト」

近年は美術館も中々の商売熱心である。ベルサイユ宮殿でも大理石玄関の間182平米、4室を新しく改装してブチックにして、インテリア雑貨、文具、ワイン、本、玩具、ベルサイユデザインの商品を開発一新、11月下旬にオープンの発表がされた。観光大国のフランス、この頃は人気の場所では多量の人が押し掛けるので、どこも入場チケットを求めるのに、長蛇の列で並ばされる有様。個人で出掛けるのは億劫なので、ブチック・プレス発表、宣伝用ツアー招待に参加してみたが、6台のバスを連ねてパリから夕方出発の往復、400人のプレス参加の盛大な夕べであった。サービスに、昨年装飾展示改装が完了したばかりの女王たちの住まいの間を、夜間に特別公開でサービスのおまけに見学させてくれる。夜見るベルサイユ宮殿の宮殿生活の跡、いくら蝋燭をつけても薄暗く陰気で、貴族たちが宮廷に出仕して、こんな中で暮らしていたのでは、どんなに美しい衣装でも、敵わなかったろうな、御免だねと同情がわいてくる。明るい照明の下で、テレビでも見て暮すモダンライフに感謝である。ただし現代は、建物の外側からだけは、見事なライトアップで夜間は夢のように浮かび上がって、観光気分をそそること満点なのであるが。

2018年12月11日 赤木 曠児郎

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