「九月に入って、もう十月」

 第12回「キノタヨ(KINOTAYO)」日本語では「金の太陽」のつもりらしいが、現代日本映画祭と名付けられて11月パリで開かれるので、発表記者会見。12月から2月までフランス各地に巡回される。この一年半の間に日本で製作された映画の中から10作品が選ばれて、パリでコンクールが行われ賞が出される。この賞の設立2006年、過去11年に1650本の映画を見て、210本が選ばれてフランスに紹介され、54人の製作関係者が来仏、記者会見、1000回以上の上映、昨年の入場者は毎回平均88名。映画による日本紹介の効果は大きいので、日本大使館も力を入れ、段々定着してきた。今年は時代劇映画が、一本も入ってないのが珍しい。
 サンローランの協力者、ピエール・ベルジェ氏が亡くなったが、オートクチュール・イブサンローランの店が、美術館に改装され公開された。パリにはピエール・カルダンも、自分の作った洋服を並べる美術館をもち、先週のパリモード週間にも、自著刊行のサイン会を開いていた。国立服飾美術館でのディオール回顧展も、4ヵ月も続き話題だし、みんな中々見応えがある。ビジネスとしては在庫を抱えないように特売などして、製作モデル洋服の処分に頭を痛めたものだが、この人たちはよく保存して取っておいたものだと思うし、今は美術品並みに、ある時代の追憶として、鑑賞、人を集めるものに成って来ていると、感慨深い。

2017年10月11日 赤木 曠児郎

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