「九月に入って、もう十月」

 その次の週、ピエール・イブ・カエール氏に新しく自分の画廊を今流行のマレー地区にオープン、事前の宣伝下見パーティを開くとのことで案内を受ける。この人とはある集まりで知り合ったのだが、会計事務士として東京で4年ばかり暮らし、日本人の若い美術家の創作に魅かれ、コレクションを始め、パリに帰って自分の集めた作品を中心に画廊を開いて、経営するのだとのこと。若手で日本各地の地方在住の作家の現代美術作品が、自分の趣味で選ばれ、購入されていて、日本美術のフランス市場への紹介の足場に、嬉しい話である。「Akagi-san ,寄って下さい」と手書きで書き込みの案内状、大きなスペースの新画廊、10月の新開店である。
 その次続いたのはジャック・ボニフエ氏。トランサテル社の社長で、17年前パリ郊外の町に作った会社。広報宣伝会社を雇って在パリの日本関係記者にコンタクト案内された訳で、社長自身が鞄持ってアシスタント連れて現れて説明記者会見。凱旋門の脇のとても大きなカッフェに午前中のひと時、あちこちのテーブルに集まって、いろいろなグループの商談や説明記者会見がされている。迷っていたら入り口で、どちらのテーブルの関係の方でしょうと聞かれて、相手の名前が通じて案内される。結局、日経の記者と二人だけだったが、「本日、日本でソニーから分かれたVAIOのパソコンに、内蔵のWINDOWS10に直接接続できるチップを、世界で初販売開始します」とのこと。ホテルなど設営のWi-Fiの接続を利用せずに直接接続作動させる有料チップで、これを使うとアメリカ、中国などで常識となっている、国に全て盗聴される心配なく直接つながるのだそうである。二年かかって作り上げ、チップ使用料も高いが、また来月は他の器械に対応チップの発売とのことで、人を使わない小さな会社で、現代はこのようなIT対応の産業があるのだと、勉強になった。

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