「つれづれぐさ」

  パリに変な格好の派手なオバサンを、見かけるようになると、ファッションショーの発表週間である。オートクチュール週間も先日あった。日本人デザイナーで桂由美さんの発表ショーも、年1回1月であるが開かれた。グランドホテルのナポレオン3世のホールを使って、久しぶりに本格ショーだった。この数シーズン雇っていたデザイナーと別れ、新企画で開かれた発表。組合の決まりで、春夏・秋冬と、年に二回開かないと組合に入れてもらえない。年一度なので彼女は資格外となるが、シャネル本店の向かいに店を構え、自分のスタイルで頑張っているのである。今年はディオールの発表ショーと、日取りでぶっつけられたが、日本大使、日本文化会館館長、自分の顧客ファンで満席。日本の「若冲」をテーマにした、手の込んだ高級素材を創り出し、柄で見せるキモノの方式を活かした洋服スタイルを創り出すのに、成功していて、従来になかった自分の物を、自分のデザインスタッフで手に入れた、本格のオートクチュールコレクションをやってのけて、大拍手であった。多くの組合に所属の記者はディオールに行き、従って一般紙面にもならず残念だったが、もう立派な物である。通だけが知って居る、ファッションの世界ではこういう物の方が、魅力あるのである。

2017年2月10日 赤木 曠児郎

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