「サミットって、なぁーに?」

 パリの日本文化会館では、8日から「マジカル・ハウス」と言う題で、日仏二組の作家による新展覧会が7月末まで二ヵ月開かれている。展覧会と言うものが、作家が努力をして、その成果を並べて鑑賞してもらうものと思っていると、すっかり勝手が違っている。大きな大ホールに大きな布製の卵の殻のような、白い空洞の球体と、伊勢神宮の神殿の屋根瓦を剥いだ棟木のようなものだけ組み立てられているものが、ポツンと二つあるだけである。「何を見るのですか」と聞いたが「二つの空間の違いを、体験してください」との答えであった。まるで縁日の寄席の見世物小屋のようなもので、掛け声だけで客を入れる。コミッセール(美術監督?)という職業ができて、頭でテーマの構成をして、それにあった品物を並べて、口上をのべて勿体をつけるのが、現代の美術館である。「一間の大イタチ」の掛け声で、はいると雨戸板に赤い血が塗って飾ってあったという落語があるが、人寄せの空間と言うのは、変わっていないのかとも思った。

2016年6月11日 赤木 曠児郎

page3/3