岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2016年2月8日

「2月のパリジェンヌ」

 日本に短期の往復旅行で帰パリ、空港から出るとタクシーのストで、足が全然ない。携帯電話の発達で、個人運転手による車運転配車の、便利なサービスが出現し、政治によって台数が制限され、高い営業権利金を払う免許制のタクシーが営業にならなくなってしまったので、闘争の最中なのである。生活が掛かっているから、暴力的になっても真剣である。労組がタクシー運転手を応援して、郊外高速線鉄道が2本に1本の間引きスト、これまた郊外通勤者に迷惑な話しである。
 テロ対策緊急非常事態宣言から、期限の3ヵ月が来て、期限を延長するか、それは政府の権限の行き過ぎと反対する考えもあって、デモがあった。また同じテロ対策のために、現在のフランス国民の国籍法を、議会で法改正の論議が始まっている。大統領府や政府の案に反対だと、法務大臣が自分から退任した。元植民地生まれで褐色の女性法務大臣であったが、最後の引継ぎのあと、赤いジャンパーと競輪ヘルメット、法務省の玄関から自転車に乗って、パリの舗道に自転車漕いで出て行った。運転手つき公用車バイバイ、使わない。中々のパフォーマンスで、自分の意見と主張は通し、気に入った光景のニュースとなって、この人を見直した。二世、三世の家業職業化した政治家では、自分の権限や選挙に汲々として、こんなにはスッキリ主張できない。面白い人材がいるからフランス政治の強みなのであり、遠慮なく主張し、二世三世で家業が政治家の代議士は作らない、「作ってはいけない」と知っているフランス民衆の厚味を感じたのだった。

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