「もう秋のシーズーン」

 経済成長ゼロ、売れない、売れないと言いながらも、工夫して改装し綺麗に、モダンにすると、人が入りだしてそれなりの成果があるから、パリの商店、カッフェ、レストランはいつでも新鮮である。例えば流行らないパン屋があった。商品ケースだけの他に、コヒー自動販売機をおき、スペースを空けてテーブルと椅子を並べ、ちょっと立ち飲みが出来るようにある日改造した。不思議に朝のサラリーマンが入ったり、定年の老人、大家族連れなどが入るようになっている。あの不味い、隣りでも買う気にならないパン屋がと不思議な物である。今パリではテラスを出さないと、流行らない。何とか工夫して街路樹の木陰や歩道に、椅子テーブルを張りだす。警察も商店振興で協力的である。ホテルの朝食を嫌う旅行者で賑わい、昼はサラリーマンのサンドイッチと飲み物で賑わっている。7,8月は、店は壁を塗り替えたり、看板を変えたり、テントを新品にしたり、手入れシーズンでもある。200年も300年も続いている建物を使うのだから、パリジャンにはアイディアを絞り、改装の季節がバカンスなのである。同じパリでも、日本人オーナーは休みと言うと本当に休みで、毎年のこういう改装をしない。店が出来ると何年か使い切って段々薄汚くなって、どうにもならなく傷むと始めてそこでブッ壊して建て替えてしまうのが、日本人の店となっている。20年で遷宮などと、木造建築の習慣と、石造りで長くと考える人との、感覚の違いだろうか。日本人の店には、オープン出来始めの時に行けと、パリジャンから逆に教えられる。使い込まれて汚くなったら、もう行かないと言うことでもある。   

2015年9月10日 赤木 曠児郎

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