「観光立国の時代と言うが」

 仕事の関係や、金銭的事情で、バカンスに出掛けられない人がいる。そんな人たちのために、「パリプラージュ」。人工でセーヌ右河の一部に砂や植木を運んで、仮設海岸施設を作り14年目。人気で北方運河の両岸にも作り始めて、近年は2カ所で開かれている。臨時パリ海岸を、パリ市が無料で提供して、今年も7月20日から5週間開かれ、泳ぐのは市営プールが各所にあるから、水着で日光浴を楽しむのである。
 観光の名所は人が押し掛けて、大混雑で、観光公害に近いようで行かないに越したことはない気分になるが、まだまだ発展の可能性があるらしく、近い将来必ず20%は増加するとユネスコの発表である。この文化と教育の国際連合機関、〇〇遺産と地球上の名所作りに意義をみつけているようで、製造に余念がない。観光産業は昔から起源は古く、エルサレムの町をイスラエル地区とパレスチナ地区と分割して争っていても、キリスト教徒の聖地巡礼産業は、両方の側の大事な何百年も続く収入源で、止められると両方が困るのである。争いと観光客が混在しているのは勉強になる。それはそれ、これはこれで別なのである。テロリストなどで事件が起きると、パッタリと人が来なくなって、観光に頼る地域は悲鳴をあげてしまう。人が集まって、遊びに来てくれてのビジネスだから、物を生産して収益を得ている訳ではない。原則は所得や物価の高い国から、安く暮し易い、低い国に向かうのであって、低い国から高い国に向かうことは、ビジネス目的では存在するが、観光バカンスではこの流れは少ない。国が観光立国をあてにするようになっては、大変に心もとないのではと感じる。

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