岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2015年7月10日

「とにかく猛暑」

 6月の末に40℃を超える気温になって、1945年以来の記録だと報道されていたから、とにかく70年以前にもあったわけで、地球が破裂するわけでもなさそうだと、少し気を静める。軽井沢の気候で、冷房機は夏でも不要が常識のパリだから、近年のこんな猛暑になったり、翌日はたいへんに涼しかったり、凄く変なのである。フランスのリヨン市で世界70ヵ国、400都市の代表が集まって、7月初め大統領の地球温暖化のコンフェランスが2日間開かれ、地球環境大臣の記者会見があったり、未来の地球環境が心配されている。1850年に比べるとアルプス山脈の氷河の66%の氷が溶けて減っているとか、海面が毎年3mmづつ上がって、19世紀に比べると19cm高くなっていて、フランスの国土面積は毎年減っている。大昔はアフリカや中近東の砂漠も木が茂っていたのが、干上がって現在の姿になったのや、沈下に苦しむベニスの町のドキュメント、とにかく今日の猛暑に迫力があり、人々の頭の中はバカンスで暑さから逃げ出すことで、すっかりパリ市内の車の量も減っている。
 毎年バカンスに入る7月1日は、公共料金や、税金、社会保険料などが上がり、年金、社会保障支給、医療保険払い戻しなどは減らされて、いろいろな値上がり変更のスタート日である。国家財政が赤字で、経費や国債という借金が国に増えるばかりなのだから、フランスも頭を抱えているのである。値上げ変更は、人々がバカンスで頭が浮かれているこのタイミングにと、習慣になってしまったらしい。その上に今年は6月末期限のギリシャの国家破産が連日大問題で、周りのヨーロ圏の国々が、どう受け入れるかが、ニュースの注目を独占している。日本も同じ状態の借金財政なのに、アベノミックスなんて目くらましに、高齢者層が気付かないのだから始末が悪い。ヨーロッパの国々は、ブラッセルの本部があり、周りの国々がお互いに危険信号を出し、改善を見守ってくれているのだから仲間があるが、日本は一人ポッチなのである。国が放漫ばら撒き会計に突っ走って、未来への借金で、現在のうまい汁を政治家や官僚が満喫し、若者の肩に被せても言ってくれる人も無い、一人ポッチの国なのである。節約して、改善して、創造して、黒字財政にして、国債と言う借金を減らさないとならないのに、人気や景気、投機金融、博奕に一喜一憂、付けは必ず回って来る。それが現在のギリシャの姿だから、他人事ではないのである。輸出の楽さの為に円安歓迎なんてそそのかされて、自分の虎の子の貯蓄財産を、世界的評価を目減りさせられて黙っている日本の高齢者層の姿は変である。価値を高めてくれて、高く守ってくれるのが、国の政治のはずである。

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