岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2014年5月10日

「パリの個展、日本の個展」

 国が違えば、習慣も違う訳で、どちらが正しいと言い立てても仕方ない。「郷に入れば、郷に従え」日本人は上手い解決法を身につけているが、異国で自分が正しいと言い立てると、摩擦が起きたり、精神病院で終わることになる。今パリの画廊で個展を開いているが、いろいろな違いを並べて見よう。
1)専門の個人商店が権威があるのであって、敷居高く誰でも入り難いように構えているのが高級商店(以下画廊も)。ウインドウに並べられている商品を見て、買う目的のある人だけが入る。人の入るのを拒否しているとしか思えない。
 誰でも手に取って見えるように、何でも並べているのが百貨店で、この国では庶民大衆が相手、しかるべき階級の人は足を踏み入れない。この点は日本人の持つイメージと大変な差がある。
2)商店が販売をするのであって、画商の場合、作家が納めたら一切を任せ、作家はアトリエで制作に専念すると考えられている。パリでは、約束とか、偶然は別にして、作家が画廊でお客の為に待機して居たりしては、可笑しいのであり、画廊の体面丸つぶれと思われる。
 ある日本の作家が、パリの画廊で個展を開くので来仏、連日会場に通い始めたが、2日ばかりで画廊側がほとほと応対に困り、終日仕事にならないし、この作家は何をしに画廊に来ているのか、作家に説明をしてくれと、頼まれたこともある。作家の方は張り切って、応援のつもりで会場に詰めていたのである。このくらい習慣が違う。

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