「殴られたり、叩かれるのが普通だった頃」

 在仏日本商工会議所が、誕生して今年は50周年である。現在の会頭は、味の素ヨーロッパ社長、倉敷出身の三宅浩之さんなので、記念パーテイに招かれた。フランスに500企業くらいの日系企業があり、内200社が現在会員である。バブルの頃は300社まで数えていたから、大分減った。シンガポール大使から変わって見えた新任の日本大使の話によると、シンガポールには1000社の日系企業があり750社の会員だったそうだから、これに比べるとパリは少ない。ロンドンには330社と出ている。50年間、歴代の会頭の変遷を見ていると、創立以来代々、東京銀行のパリ支店長が、世襲のように黙って次々30年間つづいていた。1990年代半ばになって日本の大商社のパリ支店長が、東銀支店長と輪番交代で商工会議所会頭になる10年があって、近年10年は企業代表の会頭も誕生している。銀行から商社、それから今は実力企業、職業の人気の流れを考えさせられた。
 京都市役所の近くに、本能寺というお寺がある。日本で最も知られているお寺だとご自慢だが、「敵は本能寺に在り」で織田信長最期の地、成程である。創建600周年とかで、記念イベントにパーホーマンスのショーを5月に本堂で開いた。それを10月パリに運んで2日間、パリ日本文化会館で公演、11月今日頃は名古屋の郊外でも開いているはずである。300号くらいのキャンバスに画家が出てきて、パーカッションの演奏に、声明の読経、モダンダンスのダンサーが踊るのを、デッサンしてゆくのである。本能寺の本堂を舞台に開いたショーである。管長さんの衣をつけた読経に、静かに始まるからフランス人も興味深々。飽きないで1時間半、見続けた。お寺と日本文化の大宣伝、今度行ったら寄ってみようと思う。入り口の門は小さく、地味に見え、何気なく通り過ぎるお寺だけれど。

2013年11月10日 赤木 曠児郎

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