「2012も暮れのパリ商店」

以前はデパートのウインドウでも、子供の玩具や人形を一杯並べて、メカニックで動かして子供の気を引こうと飾り立て、それを見に行く人混みが名物だった。今年はパリデパートの代表オペラ裏の2軒も、様変わり。オープランタン百貨店は、クリスチャン・デイオール記念展、全主要ウインドウ、店内を、ディオール社のイメージで飾られている。大ヒットのニュールックスタイルや、現在のモードが60年代スタイルに復古しているのと、ぴったり焦点が合っている。隣のギャラリーラファイエット百貨店は、全面がルイビュトン社と提携、同社関連商品紹介に絞り、旅行やレトロなデラックスモードを強調がテーマである。現在は中国人旅行者が押し掛けるパリであるから、観光立国の方向に変わらざるを得ないのを、まざまざと感じる。
 有名ブランド本店の多いパリ、本店で買えば良いわけだが、まことに不思議なことに、年末になるとクリスマス屋台が、フランス中に登場するのである。シャンゼリゼ公園にも、約100軒以上の白い山小屋風ショップが臨時に立ち並び、射的ゲームや、食べ物や、各地の名産小物、贈り物、アクセサリー、つまりガラクタ縁日商品だが人を集める。つまり寅さんの出る移動縁日のフランス版だが、パリ市内盛り場広場も入れ、200戸が各所に出る。クリスマス、年末の路上営業権50万ユーロ(約5千万円強)を、パリ市の税収に納める公団があって、一戸二か月間2万ユーロ(約2百万円強)の家賃で、希望出店者に貸すシステム。地方などから出品してきて、それだけ売り上げが期待できるほどの、ゾロゾロ人出なのである。本店や商店に行けば良いのにと外国人には思えるが、敷居の高さとか、格式あって、フランス人の庶民には、この縁日風景が子供の夢なのである。ユーロデズニーランドなど行けるのは、生涯に一度あるかないかのことだろう。すでに百貨店が、フランスでは中流庶民階級の店であって、その下にまた別のもう一つの大群衆がある。上流階級を意識する人は、本店とか高級専門店に行き、百貨店には通常足を踏み入れない習慣である。

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