「笑い」

 パリに日本文化会館ができて、15周年目になる。それで今年はテーマとして、「笑い」ということが選ばれている。落語の旧三枝の新襲名披露公演とか、現代の演劇、舞踏などにも現れた、「笑い」を中心の作品公演がつづく。大駱駝艦(だいらくだかん)の麿赤兒の「金粉ショー」、名古屋のストリップ劇場街で話題だったものが、華やかで納得。毛皮族という若い美人女性ばかりのアングラ劇場で評判の「女と報酬」(私は警官と女たちという芝居かと思って間違っていたのだが)、パンツばかりを見せたがる。前田司郎の「すてるたび」という現代劇、「捨てる足袋」かと思って観に行く。そんな不勉強なレベルの客で、申し訳ないのだがよく通う。日本にいると、それぞれ自分の仕事の分野で一杯で、なかなか機会のないものだが、外国に暮らすおかげで、思いもかけないものに触れる機会に恵まれて感謝している。どんなフランス人達が関心を持っているのか、客席を眺めるのも楽しみである。結構邦人より、フランス人の客が多く、詳しい。演劇が好きな国柄なのである。しかし、同じ日本人の筈なのに、現代の日本語が聞き取れなくて、筋も分からず、困惑することが多い。不条理が売り物のアングラ劇とは、そんなものだといえば、それだけだが。

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