岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2012年2月12日

「またもう、2月だ!」

  まったく早い1月だった。家具やインテリアグッズの大きな見本市もあったし、オートクチュールや男子服の新作発表週間、日本からのお能や狂言の発表会が二組も、それからパリの日本人会アーチストクラブ発足30周年記念展をパリ日本文化会館の展覧会場でオープン、講演会、音楽会、日本のいろいろな催しがまた復活、盛んになってきたような気がする。特に現在の円高は、いまヨーロッパやアメリカで発表するのには、経費がとても有利だし、旅行やお買いものも有利で、一年前の東北大震災の頃までの、不況閉塞ムードとは、すっかり変わっているような気がする。震災肥りという言葉もあるように、震災以来、何糞!というやる気が日本人の底に湧いて来たからだろう。政治家や経済人、他人や制度に頼っていては、不愉快なことばかりで、各人が自分で、サッサとやらなければどうにもならないのだ。
近頃、パリのジェトロ(JETRO日本貿易機構)出張事務所が力を入れているのが、日本のデザイン力の売り込みである。1月下旬5日間パリ・ロアシー国際空港に近いビルパン見本市会場の「インテリアデザイングッズ」大見本市(8万6000の入場者、内46%は外国からのバイヤー)には、44社も日本の地方中小企業からのブース出品の参加を数えたし、「ジャパンスタイル」という、前進的なデザイン製品を紹介グループのブースには、14社が集められ紹介されていた。他にポルトベルサイユ見本市会場には、伝統の大きな「家具見本市」もあり、日本大使公邸でも、これらの日本からの出品者を招待、フランス側の関係者も招いて、歓迎紹介パーティで応援である。この席で長野の企業で、蛍石を粉にして再び樹脂を加えて固めて、雪花石膏に大理石の艶を加えたような真っ白の新素材を作り出しているものが、今年のインテリア見本市招待の、日本発話題の新素材として紹介される。技法的には彫刻家の世界では、ブロンズの代わりに樹脂で固めた素材は、よく使われていて珍しくないが、天然の蛍石の粉というのが、貴重なのだろうか。労働力では、中国の安売り合戦に敵わないが、現代デザインの付加価値で勝負である。飛行機に乗るたびに、ジェトロが機内ビデオで流している、「日本は今」という番組が楽しみで、映画より面白く、欠かしたことがない。
 

page1/3