岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2012年1月10日

「新年・シャンゼリーゼ考」

  毎年、年越しには家にいて迎えることにしている。戸主は節季には家に居るべきだと考えるからで、全てのお招きをお断りしている。フランス国営第2チャンネルの、年越し番組の評判が良く480万人、32%に近い視聴率であった。夜8時半から、翌朝午前1時まで、世界の有名芸人を招いて、いろいろな芸を紹介してゆく。日本で芸というと、お座敷芸で地味なものが多いからとても貧弱であるが、西欧のは、キャバレ舞台が対象、ド派手なものである。よく考え付くなと感心させられるし、衣装も楽しませ、堪能させてくれる。現在の話題の頂点は北京サーカス、ヨーロッパ巡業中で、大晦日番組にも、始まり、中頃、トリと、3回も各種登場して、見事な団体曲芸で会場総立の喝采風景である。19世紀後半の頃、日本の独楽や水芸の芸人が、パリ社交界の話題をさらったという記録はあるが、近年はトンと日本人はエンターテイメントの分野では聞かない。能や狂言では高尚過ぎて一幕まで、正直なところ退屈して、席を立って帰ってしまう。ポピュラーな一般話題とはならない。

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