岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2011年12月12日

「今年も暮れる」

 ソルボンヌ大学で教えるフランスの経済学者アンリ・スピテッキ氏が「混沌の経済」という著書を出版、記者会見を外務省外国人記者会見ルームで開いたので出かける。一時間半ばかり続いたが、要するに1971年米国が、金準備制を廃止して以来、紙幣が紙っ切れになり、バブルや色々な現象がおきたが、現在は巨大化した国際投機資本の手に握られて、政府も金融も「カジノ」経済に翻弄される現在までが、歴年的に解説されている。難しいことは言わなくても黒沢明の映画「用心棒」そっくり、コンピューターの前で数字で操作する、現代の博打打ちに村が握られて、普通の庶民はただ虐げられ、役人には絞り取られるだけ、何の希望も無いような時代が、今またピッタリなのである。472ページの本、先生どうすれば良いのですかと訊ねたら、明年2月、私の考える4つの解決策の本を出版します、とのことであった。
 先日、日本から来た年配の知人に「今、パリの流行色は何でしょうか?」と聞かれた。今は何でもありで、近年は考えたことも無い質問に、懐かしかった。そして周りを見ると男も、女も黒一色。多少色があってもベージュやグレーの長持ちのする中間色だけである。目立つ色は外国人旅行者、これではスリに狙われる。9月のバカンス明け、秋の初め一週間、女性の高く細いハイヒールが一斉に登場して新風俗と驚いたが、本当に一週間で消えてしまった。足は痛いし、歩き難くてみんなすぐ音を上げてしまったと、おかしかった。今の女性の姿はと言うと、黒のタイツ、またはパンストに、ブーツがさまざま。そしてスカートは超ミニ、太腿は大胆に、コートが50年代の昔の、7分丈コートが復活したようなのが、平均的姿である。東洋人などはとくに、隠退年金組などと思われたくなければ、現役はネクタイはきっちり身に着けておくことである。街路樹や、商店街のイリュミネーションの美しい年末季節になった。昨年ちょうど今頃、雪が積もって驚いたのに、今年はまだ暖かく、木に葉の残っているのもある。  

page1/3