「マグリブ世界に火が噴いた」

 以前は中華料理店の看板が、どこにでもあったが、今は鮨と焼き鳥兼業店に看板をかえている。フランスに1580軒、この15年間で誕生。ハンバーガーチェーンの1700軒にせまっているという調査が出ている。パリ圏にこの数年、あっと言う間に1000軒の日本料理店が誕生とも言われ、内、本当の日本人の日本料理店は100軒もないそうで、200軒がフランス人、700軒が中国系オーナーで、殆どが中国系の配給グループの手に握られているとも聞かされる。うっかり鮨、日本料理の看板だけでは、入れないのである。しかしとにかく、ブームとみなされるだけ、鮨が食べられている。
  1月下旬、パリのオートクチュールコレクション週間に、桂由美さんが、自分のコレクションを開いた。毎年、年1回開くのであるが、パリモードを見慣れた人には、今回のコレクションは驚異だろう。従来の洋服に使用される素材が、すべて拒否されているのである。「京都へ捧げる」として、初めて全て京都の伝統手工芸の職人さんたちの作り出す素材で、コレクションを作りあげたのである。しかも、イブニングの装いが、高度に成功している。これは、パリジャンにとっては「脅威」でもあるだろう。難しい条件を並べて、権威みたいな顔をしたがるオートクチュール組合の、規約と組織。ルート外れの不利を無視して、わが道を開いて行く、まるで女ピエール・カルダンみたいな人である。そして成功しているから凄い。固定のファンで会場は一杯、熱気が証明している。

2011年2月7日 赤木 曠児郎

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