「もう2011年 !!」

 假屋崎省吾氏の生け花と、彼のデザイン着物組み合わせ展覧会が、10日間、プチパレ・パリ市立美術館のホールで開かれ、出かけた。1900年のパリ万博のためのパビリオンが、美術館で現在も活躍しているのである。この季節、パリジャンは年末バカンスで田舎に行く時期で、日本からの応援団体が華やかなオープニングパーティ。その帰りに、全員に配られた記念品の茶菓子に感心した。「茶の菓」という名前のものである。中味は、ラングドシャ(猫の舌)と呼ばれる、フランスの庶民焼きビスケットであるが、日本でも北海道土産によく知られる「白い恋人」と言うのも、同じ系統のものと思えばよい。京都で作られ、お抹茶の濃茶をたっぷりと、卵の白身と混ぜて焼き、ホワイトチョコレートの台と組み合わせている。今までこの菓子に考えもしなかった、風味である。
フランス庶民の駄菓子を、京都と北海道、ここまで化けさせた日本人の才能というものに、創るのではないが、凝って手を加えて昇華させてしまう、習うという、特異な才能の国民性を、あらため印象深く噛み締めたのである。折からミシュランの三ツ星レストランが、パリには10軒しかないのに、東京には14軒、パリより京都の方がまだ多いとか報道されている。あっという間に、モデル目標ができると、集中してしまう国らしい。

2011年1月10日 赤木 曠児郎

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