「ミドリ・ビオな初夏」

 環境(エコ)の話題は、すぐ火がつくようで、5月末の祭日連休の2日間、パリのシャンゼリーゼ大通りは、あるNGO若い農業後継者振興の呼びかけで、フランス全土各地から、50種以上の樹木や作物が移植され、森と田園畑に再現した。1990年の麦畑以来二度目で、180万人ものパリジャンが押しかけ記録的人出、農業省をバックに5億円相当のスポンサーが集められ実現したという。ゾロゾロと緑一色の見慣れないシャンゼリーゼを、みんなで満喫した。
 「BIO」ビオロジーからきた、生物の、有機のということも大流行で、別のNGOでは、ヨーロッパ共通の「AB有機農業自然食品」のラベルマーク添付を7月1日より始めるが、団体の記者会見を見に行ってみた。自然食品の専門店は、パリ市内にも近年は数多く珍しくないが、少し高くても人が入る。スーパー、大型大販店などでも、ビオの表示のついた自然食品の売り上げが45%に上り、ドンドンと近年伸び、遺伝子改造材料など使っている食品でもあったら、今では絶対売れないそうで、お客も気にしているのである。大豆、玉蜀黍、空豆など要注意、こちらでは食用でなく家畜の飼料用に栽培されるが、遺伝子改造品種が多い。これを使った醤油や味噌、食べて育った家畜か、どうかまで気にされる。ある改造品種の玉蜀黍の花粉で、ヨーロッパの蜜蜂の半分が、絶滅したとも争われている。
 農家のビオ栽培の面積を増やし、現在22%の農地がビオ栽培になっていると、記者会見で聞かされた数字である。ECの中で、ドイツの消費者が一番敏感、幼児食品だと78%がビオでなくては売れず、フランスの消費者が次ぎ二番目、イタリー、英国がつづく。現在以上4ヵ国でヨーロッパのビオ食品の4分の3を消費していると団体はいう。輸入される青果や食品の38%がビオな産物で、ビオ運動が始まって今年で11年目、「ビオの春」としてフランス全土、6月1日から15日まで、目下色々なキャンペーン行事が、真っ最中である。2008年と2009年の比較で、ビオ作物の消費売り上げが2倍に増えているから、生産農家も敏感になる。ビオのチーズ、ワインもあるのか?これが現在検討中の、デリケートな課題である。

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