「2010年」

 「ウールの靴下」(バ・ド・レーヌ)そう言うと、臍繰りで貯めているお金のことになる。日本人は貯金が大好きだが、フランス人は節約を心掛け、靴下の中にお札を巻いて、セッセと入れて、貯めて備えるのである。フランスのお金が、ヨーロッパ共通ユーロになって、もう8年になり、硬貨はもう期限切れで骨董価値しかないが、お札はまだ2012年の2月まで、銀行で交換してくれる。過去のフラン紙幣の発行枚数から行くと、2734万枚、円換算の金額にして約1000億円相当が、お祖父さん、お祖母さんの箪笥の底に寝ていることになる。宝探しは後二年以内にと、新年の新聞に大きく報道されていた。
 フランスでも、年の暮れには色々な募金活動がある。貧しい人に恵むというのは、キリスト教やイスラム教の社会の教えで、宣伝や還元利益の、ご利益が期待されるからと考える、日本人社会のメセナ活動とは、もっと違う深いところにあるようだ。不景気だ、不況だと言っても、年々助け合いに使われる金額統計が増えて、目立っている。特に「テレトン」という、テレビを24時間使っての筋萎縮性小児麻痺のための、年末募金は断然トップ人気で、一晩で150億円相当集める。2位のフランスカトリック教総動員年末募金の倍以上の規模である。以前は癌撲滅のための募金がトップだったが、数年前理事長が勝手に私用に使っているのがばれて、人々を唖然とさせ、消えてしまった。赤十字は5位である。

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