テラスから(1)
テラスから(1)
 

「日曜日」

 一ヶ月前、アメリカ大統領一家4人がフランスを訪れてから、フランス中に喧々諤々、世論が沸いている。ノルマンジー上陸作戦65周念記念式典に参加、大勢のアメリカ人戦没者の墓参が、これは当然の行事。6月6日はプライベートのパリで、7日午後には大統領だけが、夫人と娘二人残して、ワシントンに帰って行った。一日延ばした夫人は、折角のパリなので、パリのショッピングがしてみたいと、百貨店に買い物に行くことを、楽しみにしたのである。残念なことに日曜日、全部お休みの日で、この夢は叶わなかった。
  日曜日の人出を当て込む日本では考えられないかも知れないが、週一回の安息日は宗教の教えで決められ、キリスト教社会では日曜日である。それを基準に社会の仕組みもできあがり、法律で日曜日は休まなくてはならないのである。特定の観光関連の業種のみ店を開くことが許可されるが、一般は営業や事業をすると罰せられる。ユダヤ教やイスラム教は金曜日が、キリスト教の安息日にあたるから、この日に休み、日曜日に店を開いても、小さな個人商店なら多少大目に見られて、パリジャンの緊急の必要に助かっている。
  経営陣としては、休日は家族全員で買い物の出来る唯一の機会。年末や、特売デーの年数回、特別に許可されオープンできる日曜日の売り上げも大きいので、営業させろと常に持ち出すのだが、労組などは労働者の休息の権利の主張で、ガンと応じない。ミッシェル、マリア(10才)、サーシャ(8才)のオバマ3人は、またこの問題を再燃させ、来週には今議会での議案採決予定にまでなっている。そんな時、マイケル・ジャクソンの葬儀ニュースが入って、一週間はフランス中のニュース話題をさらい、葬儀の実況は、国営と民営トップの、2つのチャンネル競争で、夕方のゴールデンアワーを、密着3時間以上もぶっ続けで流す有様だったが、終わってもう、また日曜休日の是非論争に、法律を改正するかどうか、燃え上がっている。

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