グラン・パレを望んでパリ風景
グラン・パレを望んでパリ風景
 

「もう2月、早い」

 築き上げた店のブランド権はすでに高く売り、洋服作品のためには、パリに専門美術館を作り、保管される機構を確立しているが、自分たちの身の回りを飾ってくれていた美術品や骨董美術品はどうするか。将来を考えて、今回それぞれのカテゴリー別に三日間にわたって、六回の競売売り立てがされる。パリのシャンゼリーゼ・グランパレが会場で、カタログが作られ、世界から落札参加、総額3億ユーロ(約350億円)になると見積評価される。サンローラン・ベルジェのコレクション売り立てに出た作品として、それぞれの品々が、また由来の箔や、付加価値をつけて、世界の美術骨董市場に戻って行くのである。高級洋裁店経営の、毎年の決算はどうだったのか知れないが、ゼロから起業し、生涯にこのような財産を築き上げていたわけである。この売り立て利益は、エイズや医学の研究にも寄付されるという。
 パリの「蚤の市」が有名だが、アンチークや骨董美術の市場も、盛んなのである。工場生産や金融、会社の数字だけでなく、パリジャンは実に古い価値に、敏感に反応する。今回のは「世紀の」とキャプションが付くくらい大型だが、日常の年金生活社会の中に、蓄財法として常日頃、みんな目を光らせている。休日、祭日など各地盛り場、大通りにテントなど張って、市が率先して骨董や交換市を開かせている。結構身なりの好い人も熱心で、何か見つけて嬉しそうに車に積んでいる。フランス全土に盛んなのに驚かれるだろう。
 

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