ティルシット通り
 

「シーズンが始まった」

 日本の景気も底をついた十年間を経過して、すこし立ち直り始めたのだろうか、海外への経済交流への呼び掛けもまた始まった。十九世紀に建てられた旧貴族屋敷に陣取る、パリ商工会議所の豪華なホールで、シーズンの始まり早々二つの日本の催しがあった。
 一つは大阪市と関西地区の、振興キャンペーンだった。明確な未来のイメージ「二十世紀は車の時代でしたが、二十一世紀はロボットの時代です」。大阪周辺は沢山のロボット産業のナノテクニックが集まって、世界の一大中心地なのだそうで、関東、中部地区に押されがちな昨今の、再復活、海外向けキャンペーン。
 三日おいて日本経済のセミナー、安倍政権になってどうなるか、昔はドルの次は円、世界第二位の経済力と言われたが、現在はドル、ユーロ、ポンドにも負けて、円は世界第四流の人気のお金。その上に中国の大躍進、どんな見通しなのか、日仏経済交流などが、熱く語られる。日本企業がフランスに進出している数より、フランス企業が日本に進出している数の方が、200対400、倍近く多いのである。銀座や心斎橋をみてもフランスデラックス産業が一等地を押さえているのだから、想像できるだろう。

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