ブラッセルのレストラン
 

「現代赤毛布事情」

 結局アメリカ国内線の航空では、エコノミークラスは自分で弁当を持って乗らないと、何も出ないのであった。ジュース飲料類が乗って一時間ほどして出て、下りる前に又一杯出るだけである。上のビジネスクラスでは、食事も用意され出されていたが、普通クラスには何も無し。映画のスクリーンに画像が出るが、イヤホーンは料金を別に払って買うのだし、アルコール飲料が飲みたければまた料金が要る。さすが乗り継いだロンドン行き外国線では食事も出るが、これも非常に簡単で、アルコール飲料はやはり料金を払う。
 大体ボーイングのジャンボ機に、トイレがニ箇所くらいしかなく、それでまかなえる。何箇所も準備されていて、常に便所に通う日本人客と大違いで、ビールも出さないかわりに、6〜7時間のことなら外国人は行かないのである。外国の航空会社のよいところは、客の体格が大きいから、日本の航空会社の飛行機より、エコノミークラスでも少し座席にゆとりがあることで、日本のは本当にせせこましく間隔を詰めていて、そのかわりビジネスクラス以上、これみよがしにゆったりと、必要以上に間を空けて見せつける。今の日本に持てるものが譲って、分け合う謙虚の美徳のかけらもないと、何時もいささか恥ずかしくなる。
 しかし、とにかく水かジュースだけ与えられて6時間、他国の飛行機のつもりで乗っていて驚いた。より安く、目的地に確実に運べば契約通りだからよいわけで、1頭、2頭、3頭と座席に縛りつけて、水分を補給して、弱らせないように、奴隷船の思想が生きていて、人間並に扱われたければ、ビジネスクラスにゼントルマンは乗りなさいということかと、理解した「クリスマス」であった。

2006年1月5日 赤木 曠児郎  
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