岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

パリ・オペラ座(ガルニエ)

【近況】

日本の巡回展も無事終わり、これから年末まで、サロン・ドートンヌ、ル・サロン、ナショナル・ボーザール、3つの団体展があるので、その出品制作に追われています。
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≪既刊≫

『パリ画集・21世紀始まりのころのパリ』
マリア書房刊
ISBN4-89511-347-7
6,500円+税
この8年くらいかけて描いた、約100点の最新作素描原画を収めています。

「新書版・私のファッション屋時代」

900円+送料
講談社エディトリアル・株式会社第一出版センター(担当・大崎さん)
TEL(03)5319-4150
FAX(03)3944-5241
または、展覧会場でのみ発売
 
2005年11月11日

「フランスの騒動」

 二週間ほど前のこと、パリ隣接郊外の町で夜中の二時頃に歩いていた少年二人が、警官の不審尋問を受けた。急に逃げだして、塀を越えて高圧変電所に逃げ込み、感電死した。権力側が不当だと、翌日夜から騒ぎだし、道路駐車の車が何台も焼かれた。
 それが飛火して、次々と他の郊外の町に広がり、何千台も車が焼かれ連日止まないのが、今回の騒動である。遂に十日目、政府が「発砲も認める」と言ったので、急に外国の報道機関までが取り上げるようになり、マスコミの焦点、パリに暮らす私の家にまでも、日本やアメリカから「フランスでお暮らしで、大丈夫ですか」と問い合わせの電話が次々と掛かってくる。
「何も変わりありませんし、みんなすべて平常で、パリの街頭で絵を何時ものようにデッサンしています」と答える。劇場も、コンサートも、展覧会も、何の変わりもなくオープン、多い。警官の警戒の数も少し多いくらいだろうか、守ってくれている。68年の学生運動も経験したが、騒動に遭うのはごく一部の場所で、他はニュースを見なければ、何も知らないで済む位なのだが、報道だけを見ると、フランス全土が市民戦争のような印象を、世界に撒いてしまっているのである。私には、フランス第二の港マルセイユの民営化に対し、労組が30日近くストライキを続け、港の倒産の際までなったり、今でも一ヵ月以上もマルセイユ市内の公共交通機関がストップしたままとか、国の抱える問題は多いと思うのだが、こちらはあまり世界の関心を呼んでいない。

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赤木曠児郎氏 略歴
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