サンマルタン運河沿いのアパート
 

「珍事」

 少し贅沢なのではと、あるフランスの風刺新聞が素っパ抜き、だんだん騒ぎが大きくなり、とうとう首相まで、大臣のアパートは夫婦に80平方メートル、子供一人につき20平方メートルまでと国負担の基準を発表する次第。そうすると、この大臣は240平方メートルとなるから、職業に伴う現物負担部分とはいえ、いささか度が過ぎて目立ち、他のことまでみんな役得でそんなに取ってるのと、税金を払う国民の目に映り、政府不信ガヤガヤ穏やかでなくなる。
 悪いことにこの大蔵大臣が、興味をもって押し掛けたマスコミ取材に、その場のがれの嘘ばかり発言したのである。「自分の家は普通の庶民の出身で、子供は多く、仕事の関係上足場のよいところが必要で・・・」とか言うたびに、嘘じゃないのと剥がされて、パリに大きなアパートを持ち他人に貸していたり、地方に2つも別荘がでてきたり、騒ぎが大きくなり、とうとう新居に入って3週間目の2月の末には大臣辞任にまでなってしまった。

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