岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

クロア・ニベール通り26番地

【近況】

「アカギのパリ40年」展
期間:12月24日〜1月3日
場所:プランタン銀座
入場料:600円

 東京銀座の「プランタン銀座」百貨店の催し物会場で、6ヵ月間ノートルダム広場地下遺構美術館での展示を終わり、パリから運ばれた「アカギのパリ40年」展が読売新聞社主催で開かれます。
 パリのオー・プランタン百貨店の日本チェーン店が誕生して、2004年は丁度20周年でしたので、この記念行事の最終プログラムとして、企画されたものです。当初パリ市の企画が9月終了予定でしたが、11月まで3ヵ月延長されたため、年内ギリギリになりましたが、とにかく私も会場に行き、41年振りに日本のお正月を見る予定です。
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≪既刊≫

『パリ画集・21世紀始まりのころのパリ』
マリア書房刊
ISBN4-89511-347-7
6,500円+税
この8年くらいかけて描いた、約100点の最新作素描原画を収めています。

「新書版・私のファッション屋時代」

900円+送料
株式会社 第一出版センター(担当・大崎さん)
TEL(03)3235-3051
FAX(03)3235-0158
または、展覧会場でのみ発売
 
2004年11月22日

「ボージョレー・ヌーボー飲んじゃった」

 11月18日、ボージョレー・ヌーボー飲んじゃったのです。一口味を利けばもう充分なので、次ぎの日の食事のときレストランのボーイが、「ヌーボー・ボージョレーもありますよ。いかがですか?」と勧めるのですが、「昨日、味利きしたからもういいよ。」もっとおいしいワインがあるのですから、特別飲みたいものでもありません。どんな味だったかって聞かれても、少し泡が立ち、甘くないブドウジュースを飲んでるくらいのものでしょうか。
 お酒は税金に一番関係があるので、ガソリン税みたいに財務省が決めるのです。いまごろ日本の週刊誌の広告にもよくあるじゃないですか。ビール壜が縦半分に割かれていて、半分は税金ですというビール組合のご意見広告が。ワインも役所が、この土地の畠から何リットルまでお酒として売ってよろしいと、量と発売日と販売終了日を指定して、税金納めて初めて売られるのです。
 この早出来のワインは、「プリムール」(走り酒)と呼ばれ、あるブドウの種類は、少し早く飲める状態になることが18世紀末頃から知られていました。それが1951年11月、その年の本格醸造ワインが完成する一ヵ月前に、早く売ってもよろしいと、期限付で許可になったときから始まったのです。ですから同じように各地に「走りの酒」があります。それから1967年11月15日には正式な産地限定ワイン名として格上げ、ボージョレー地区では「ボージョレー・ヌーボー」と名付けたのです。
 翌1968年「ボージョレー・ヌーボーがやって来た」というコメディ映画が現れて、リヨンの北側のボージョレー地区のプリムールばかり知名度が上がり、ポール・ボキューズを頭にリヨン地方のシェフや、マコン地区のワイン問屋や組合が集まって、マーケッティングにも力が入り、世界的にしてしまったのです。本物が出始めたら消えてテーブルに出す物ではないという、「運命な初物」という薄幸なイメージも受けたのでしょうか。
 この酒は解禁日の10日前から世界各地への輸送許可が出ます。船便では期限切れで間に合わないのですから、飛行機はワインで満杯です。パリに二社ある日本の航空会社のある支店長は「平生お客獲得で頭下げっぱなしですが、この10日間だけ、何とか貨物積んで欲しいと頼まれても、ヌーボーで一杯でどうにもなりません。頭真っ直ぐしていられる唯一の季節です」そっと話してくれました。他もありながら、こんなに1地方の名前に集中して売れてしまったのは珍しいので、余計騒ぐのだそうです。

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赤木曠児郎氏 略歴
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