パリのキオスク
 

「まだバカンス」

 人民の側としては、政治に携わる人に毎月150万を超える額からの、サラリーを支払っているのであるから、国民一人の選挙投票の一票が、会社の人事部採用試験の試験官になったようなもので、まどろっこしい一票による審査とはいえ、充分に価値ある人を選んで採用しているかどうか試験をしていると思えば、単なる義務だと面倒がらず、投票も、また楽しいものと考えられる。
 バカンスも終盤に入り、今年のパリのヒットは、セーヌ河右岸壁沿いのハイウエーを1キロばかり閉鎖して、椰子の木の植木を並べたり、デッキチェア—を並べて、三週間開放したことだ。新市長のいいアイディアで、みんな喜んで甲羅を干している。日本人と違って、皮膚癌の心配があるとか何とか言わないで、夏は太陽光線に充分に当たっておくのが、これからの冬の季節を迎えるための、ヨーロッパの人たちの夢なのだ。夜は大画面で野外映画の会も、公園広場などで、開かれたりもする。多くの人が南に出掛けてしまって、仕事の都合でパリに居残らなければならない人にとっても、何かしらゆったりとバカンスである。

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