「三脱(さんだつ)」の「三」は、年齢、職業、地位の三つ。
これを「脱する」、つまり取り去ると、先入観を持つことなく、
相手の人そのものを見ることが出来る・・・
「三脱の教え」とは、他人、特に初対面の人に
この三つを聞いてはならないというルールだと、江戸しぐさにある。
江戸時代は、現代よりも身分や地位の差が歴然としていた時代。
「三脱の教え」は、あえてそれにとらわれることなく、人間そのものを
見極めよ…という教えであり、本質を大切にする江戸っ子の気概がわかる
江戸しぐさだ。
そういえば、お奉行様が“金さん”として町衆に溶け込むことが出来たり、
水戸の黄門様がちりめん問屋の主で、助さん格さんがお供なんてことが
可能だったりした。
仕事だけじゃなく、住まいや本名をお互いに知るには、それなりの付き合いが
あって後のことだという。
『江戸しぐさでは“粋”でないことは“無粋” “野暮”とした・・・』とある※
夜のお店で仲良くさせていただいている常連さんを、“○○のおとうさん”とか、
プーさんとか、ほとんどニックネームでお呼びする。
『いまの方はどこのどなた? 何をされている方?』と
かみさんに尋ねられても、 『さぁ…』
どんな仕事をされているかなんてどうでもいいじゃないか・・・と考えるのは
“三脱の教え”に従うところだったりする(?)のだ。
僕も“タキちゃん”のままがありがたいのだが、時々突然名刺などを
差し出してこられ『滝沢さんですね、いつも 見てます…』などと言われる。
テレビには年に一回(ボウリング中継)、それもチョロッとしか出てないのにだ。
こういうのを無粋というんだろうなぁ…
厄介なのは、名刺交換などすると 相手にとっては“滝沢に会った”ことが
この先ず~っと記憶され、街中でいきなり声をかけられたりする…
『この間は どうも…』
申し訳ないが、ほとんど覚えていない。
※今日から身につく粋なマナー“江戸しぐさ”和城伊勢著/金の星社